"Delid-Die-Mate - Ryzen 7000"

Ryzen 7000 Delid-Die-Mateは、AMD Ryzen 7000/8X00G/9000プロセッサのヒートスプレッダ（「デリッディング」）を取り外すためのツールです。ヒートスプレッダを取り外すことで、例えば「Die直冷却（Direct-Die）」が可能になります。いわゆる「Die直冷却」方法では、CPUクーラーをCPUのDieおよびプロセッサのI/O Dieに直接取り付けます。ヒートスプレッダを冷却回路から省略することで、DieからCPUクーラーへの熱伝達が大幅に最適化されます。

• Ryzen 7000/8X00G CPUs対応
• デリッディングツール
• アルミ製

なぜRyzen 7000で「デリッディング」＆「Die直冷却」方法が必要なのか？

デリッディングは、プロセッサのヒートスプレッダを取り外すプロセスです。非はんだ付けのプロセッサでは通常デリッディングを行ってCPU Dieとヒートスプレッダの間のサーマルインターフェース素材（TIM）を高品質なサーマルペーストや液体金属に交換した後、ヒートスプレッダを再取り付けします。

しかし、Ryzen 7000プロセッサはハンダ付けされているため、この方法は適用できません。インジウムハンダを取り除くと、IHSとCPU Dieの間に大きな隙間ができてしまいます。

そのため、Ryzen 7000プロセッサは主にCPUクーラーを直接CPU Dieに取り付けるためにデリッディングされます。Ryzen 7000の場合、これに該当するのはI/O Die（IOD）と1つまたは2つのCPU Die（CCD）、いわゆるチップレットです。ヒートスプレッダを省略してCPUクーラーをDieに直接取り付けることで液体金属（例：Conductonaut）をTIMとして使用した場合、温度を10〜20℃低下させることが出来ることが過去の事例で確認されています。これに関するテストはコンテンツクリエイターでありTech系YouTuberのRoman "der8auer" Hartung氏（プロのオーバークロッカー兼エンジニア）とJason "JayzTwoCents" Langevin氏によって行われました。

Direct Dieによるこの温度改善はRyzen 7000プロセッサのヒートスプレッダにも関係しています。Ryzen 7000に搭載されたAM5プラットフォームのヒートスプレッダは、旧型のAM4のヒートスプレッダよりも厚くなっています。これによりAM4用の古いCPUクーラーがAM5プラットフォームにも対応できるように設計されています。さらにRyzen 7000のヒートスプレッダの表面積は、AM4の1,300mm²に対して約910mm²と大幅に小さくなっています。

しかし、Ryzen CPUのチップレットは、Direct Die方法でCPUクーラーを取り付ける際に損傷する可能性があります（例えば、旧型のAMDプロセッサ、Athlon XP世代などで発生した問題）。そのため、Ryzen 7000用Direct Dieフレームを提供しています。このフレームはPCBの縁をカバーし、CPUクーラーをダイに取り付ける際の損傷リスクを減らします。

Ryzen 8X00Gとの互換性

※Delid-Die-Mate Ryzen 7000はRyzen 8X00GシリーズのAPUに対応しています。AMD Ryzen 5 8500G、Ryzen 5 8600G、Ryzen 7 8700Gとの互換性に関する詳細情報は、次の動画 “AMD Ryzen 8000 Delidded - Liquid Metal Changes Everything!”をご覧ください。

Ryzen 9000との互換性について

初期の内部テストによると、Ryzen 7000 Delid-Die-MateはAMDのRyzen 9000プロセッサシリーズと互換性があります。このテストは通常の9000シリーズCPUのみを対象としており、Ryzen 9000X3D CPUは入手可能になり次第テストされる予定です。

注意事項: プロセッサのヒートスプレッダを取り外す（「デリッディング」）作業は自己責任で行ってください。CPUのヒートスプレッダを取り外すとメーカー保証が無効になります。デリッディング中にCPUが損傷した場合、その損傷はメーカー保証の対象外になります。